以前、こちらの記事で、1分スピーチの作り方をお伝えしました。

そして今回は、番外編として、「英語スピーチ」についてお伝えしていきます。今回は、以前ブログで書いた以下ブログを参考に英語スピーチを作ってみました。

実は私、これまで英語朗唱といって、世界の偉大なリーダーたちが過去に実施してきた「名スピーチ」を憶えて、自分なりの表現で発表する、という学習を続けて約2年になります。そして、今度はオリジナルのスピーチを作り、発表する学びを始めました。
英語圏に住んでいますので、これまで「何となく」人前で話をしたことはありました。でも、英語でのスピーチに「きちんと」取り組むのは初めて。こちらはまだ取り組み始めたばかりなのですが、自分の学びの復習も兼ねて、こちらにアップしていくことにしました。
日本語と英語という違いはありますが、どの言語でも共通して取り入れられるポイントでもあるので、参考にして下さいね。
日本語と英語、スピーチの構造が違う!
日本語と英語では、スピーチの構造が根本的に違います。
日本語スピーチ:起承転結型が多い。
- 状況説明から始まり、最後に結論を語ることが多い
- 控えめな導入から徐々に盛り上がる
英語スピーチ:結論先行が多い。
- 最初にメインメッセージを提示
- その後、ストーリーで証明
- 冒頭30秒で聴衆の心を掴む必要がある
この違いを理解せずに、日本語のスピーチをそのまま英語に翻訳しても、聴衆の心には響きません。
英語スピーチ成功の鍵「3つのT」とは?
英語スピーチでは、聴衆の関心を引く冒頭部分がより重要です。日本語のスピーチでは「最近、こんなことがありました」と控えめに始めることが多いですが、英語圏では最初の30秒で聴衆の心を掴まなければ、その後に注意を向けてもらうのは困難です。
ここで活用するのが「TAP・Tease・Transport」の3つのT。これは英語圏のストーリーテリングで広く使われている技法です。
TAP(つかみ):聴衆の心を一瞬で掴む
TAPの役割は、聴衆に「おっ、これは聞く価値がありそうだ」と思わせる最初の一言です。たとえば、日本語と英語では以下のような違いがあります。
日本語的なアプローチ(控えめ) 「最近、コーヒーショップで、こんなことがありました…」
→ 聴衆の反応:「ふーん、まあ聞いてみるか」
英語的なアプローチ(インパクト重視) 「Do you have the courage to approach someone you know just a little bit?」 (ちょっと知っている人に声をかける勇気がありますか?)
→ 聴衆の反応:「え?どういうこと?詳しく聞きたい!」
効果的なTAPの作り方、3つのパターンをご紹介します:
1. 問いかけから始める 「Do you have the courage to approach someone you know just a little bit?」 (ちょっと知っている人に声をかける勇気がありますか?)
2. 意外性のある主張から始める 「Sometimes the smallest conversations create the biggest changes.」 (時として、最も小さな会話が最も大きな変化を生み出します)
3. 印象的な対比から始める 「We see faces every day, but we rarely see hearts.」 (私たちは毎日顔を見ていますが、心を見ることはほとんどありません)
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いずれも、長すぎると「TAP」になりません。1,2文で「え?」「何だろう?」という気にさせる一言であることが大事です。
Tease(予告):期待感を高める
Teaseの役割は「この後、どんな話が聞けるんだろう?」という期待感を醸成し、聴衆を最後まで引き付けることです。映画の予告のことを「Teaser」と言いますが、同じ意味から来ています。
今回のスピーチでのTeaseは: 「A single word with a coffee stand owner changed everything.」 (コーヒースタンドの店主との一言で、すべてが変わりました)
この予告で聴衆は以下のようなことを期待します:
- どんな一言だったのか?
- 何がどう変わったのか?
- そこからどんな学びがあったのか?
効果的なTeaseのコツ
- 具体的にしつつも詳細は明かさない:「coffee stand owner」「single word」
- 変化の可能性を示唆する:「changed everything」
- 聞く価値があることを暗示
Transport(つなぎ):本編への自然な導入
Transportの役割は、TAP・Teaseで高まった期待感を維持しながら、自然にストーリー本編に移行させることです。
今回のスピーチでの「Transport」は: 「Let me take you to New York. I live there and work in Manhattan. Every morning, I have the same routine…」(ニューヨークにお連れしましょう。私はそこに住んでいて、マンハッタンで働いています。オフィスに行く時は、いつも同じルーティンがあります…。)
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ここで気を付けなくてはいけないのは、「聴衆を置き去りにしない」ということです。例えば、私がニューヨークにいることも、初めて聴く人にはわかりません。なので、最低限、私の置かれている状況を説明する必要があります。ここは自分にとっては「わかりきったこと」であればあるほど、忘れやすいポイントなので注意です。
Transportで重要な要素:
- 具体的な時間・場所設定:「New York」「Manhattan」「Every morning」
- 聴衆をその場面に引き込む:「Let me take you to…」
- 日常から非日常への橋渡し
実際の「3つのT」完成版
上記をまとめると、今回のスピーチの冒頭部分は以下のようになりました:
TAP(つかみ) Do you have the courage to approach someone you know just a little bit?
Tease(予告) A single word with a coffee stand owner changed everything.
Transport(繋ぎ) Let me take you to New York. I live there and work in Manhattan. When I go to the office, I have the same routine. I wake up, get ready, and head to the office. On my way to work, I always stop by a small coffee stand on the street.
どうでしょうか?続きが聞きたくなる内容になっていますか?
あなたも「3つのT」を作ってみよう!
あなたの体験談:_________________________
TAP(つかみ): □ 問いかけで:______________________ □ 意外性のある主張で:______________ □ 印象的な対比で:__________________
Tease(予告): A single _____________ changed _____________. もしくは: This story is about _________________.
Transport(つなぎ): Let me take you to _________________. It was _____________________________. ____________________________________.
この3つのTをマスターすることで、あなたの英語スピーチは「なんとなく聞いてもらう」から「続きが聞きたくなる」スピーチに変わります。
次回は、スピーチの本編部分の構成方法についてお伝えする予定です。お楽しみに!
今回のポイント
✅ 冒頭30秒で聴衆の心を掴むことが重要
✅ TAP・Tease・Transportの「3つのT」を活用する
✅ 具体的でありながら詳細は明かさないバランスが大切
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